最優秀に山乃手さん 第38回郷土作家アンソロジー
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短編小説公募の第38回郷土作家アンソロジー(NPO十勝文化会議、十勝毎日新聞社主催)の作品選考会が22日、十勝毎日新聞社で開かれた。応募作品21編から、入選9編が決まり、最優秀賞には帯広市在住の会社員、山乃手ざんぎさん(44)=本名非公開=の「軽トラックの荷台から」が輝いた。
「軽トラック-」は、軽トラックに乗せられ、ジンギスカン屋に売られる2頭のヒツジが語り手となり、生と死を描いた物語。選考委員からは、「対比の使い方が巧妙」「ヒツジが語り手の方法が素晴らしい」「どう描くかに重きを置き、スタイルが秀逸」と高評を集めた。
山乃手さんは、札幌市生まれ。3年前に単身赴任で帯広に来た。小説を書いた経験はなかったが、手頃な文章量だった郷土作家アンソロジーに興味を持ち投稿。第35回(2012年後期)から連続3回入選している。
作品は昨年夏、軽トラックに乗って運ばれるヒツジを見て膨らんだ思いをつづった。自作10本目で、山乃手さんは「これまでとはトーンを変え、人の生死を自分の切り口で料理したかった」。全体に「死」のキーワードを入れ、「生死をドライに表現した。新たに取り組んだ作品への評価でうれしい」と話している。
郷土作家アンソロジーは、年に2回、400字詰め原稿用紙16枚で短編小説を公募。今回の選考委員は、鈴木扶さん、五嶋純有さん、田中厚一さん、鳥井綾子さん、武内哲さんが務めた。入選作は4月20日(予定)から本紙紙面で掲載する。(山岡瑠美子)
入選作品は次の通り。(順不同、敬称略)
田口美希子「ランチタイム」、大谷朋子「つむじ曲りのカンタービレ」、江東周一「喜三郎のメール」、小田郁代「夕陽の街」、西野嘉修「空のむこう」、佐野宣慶「きみがくれた春」、浅野清「ハサミ」、臼入飴「図書館の少女A」