全米トップの住みやすさ
自然豊かで経済も堅調
シカゴから空路マディソンへ向かう機内、帯広の精神保健専門家らでつくる視察団のメンバーは眼下の畑作・酪農の農村景観に目を奪われた。「小麦畑や牧草地などが織り成す雄大なパッチワーク。十勝にそっくりだ」(大江徹団長)。団員の誰もが両市の明るい将来を予感した。
■郡の母都市 美しく活気
米国中西部の北寄りにあるウィスコンシン州マディソン市。4つの湖畔に広がる自然豊かで美しく活気あふれるまちだ。帯広市が姉妹都市提携を模索する同市は、デーン郡の中心に位置し、地域の「母都市」としての役割を果たす。郡と市の関係は、十勝における帯広とよく似ている。
マディソン・帯広姉妹都市委員会のメンバーで日系2世のジョー・オオヤマ・ミラーさん(59)は「景気の浮き沈みがなく、教育水準は高い。小さくてもキラリと光るまち」と話す。視察団に州下院議会の感謝決議を贈ったマーク・ミラー議員夫妻をはじめ、市民の多くは民主党の支持者だ。
「州都」と「学園都市」。マディソンは2つの顔を持つ。北のメンドータ、南のモノナ両湖に挟まれた“中州”のような中心部の丘の上に「州議会議事堂」がそびえる。このシンボルを州や郡の官庁、保険・金融の本、支店が入ったビルが取り囲む。政治・行政機能の集約がまちの安定と継続的な雇用を提供してきた。
議事堂から西へ続くカフェや雑貨店が並ぶ市内一の目抜き通り「ステーツ・ストリート」。欧州やアジアなど多様な国の若者と擦れ違う。その先に広がるのが「ウィスコンシン州立大学マディソン校」だ。世界各地から約4万人の学生が学ぶ全米トップレベルのキャンパス。市民は「マディソンのリベラルで寛容な気風の発信源」と誇る。
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堅調な経済と住み良さを誇るマディソン市。メンドータ湖(左)、モノナ湖(右)に挟まれた中央奥にドーム型の「州議会議事堂」が見える
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■驚異の急成長 失業率は2.3%
教育文化の中核はまた、約1万7000人の職員を抱える市内最大の雇用先。
約7万の仕事、年間47億ドルの売り上げを創出し、近年は産学連携によるバイオテクノロジー産業のけん引役で、医薬、工業分野などでの急成長ぶりが「中西部の奇跡」(フォーブス誌)と称される。失業率は2・3%と驚異的な低さ(全米平均5・5%)だ。
5月末に埼玉県から夫婦で移住、同国の獣医師資格を目指す木次佳太さん(41)は「湖沿いを中心にレクリエーション施設も充実。アジア系への偏見が少なく、夜は女性1人で外を歩けるほど治安も良い」と気に入った様子。
「住み良さ全米ナンバーワン」と複数の有力誌のトップを飾ったのもうなずける。
■快適さ支える 保健福祉体制
堅調な経済を誇る快適なまちは充実した保健福祉体制の下支えも見逃せない。特に、精神保健は障害者が入院ではなく、地域で暮らしながらケアを受けられる「脱施設化」を達成。この取り組みは「マディソンモデル」と呼ばれ、世界数十カ国に紹介されている。
「精神や心の病を患っても、誰もが安心して暮らせる地域づくりのカギがここにある」(大江団長)。共感と期待に胸を膨らませ旅は始まった。(栗田直樹)(04.11.08)
<マディソン市> 人口約20万8000人で、独・東欧系が多くを占める。ウィスコンシン州(約550万人)の州都。同州の基幹産業は工業だが、牛乳、チーズなど全米トップ級の酪農地帯で米の「酪農王国」と称される。デーン郡(約40万人)の母都市で、帯広十勝と同緯度、気候も似ており共通点が多い。
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